不動産投資

【初心者向け】4つの視点で「株式投資」と「不動産投資」を理解しよう

株式投資と不動産投資てどうちがうのですか?

4つの観点で見ていくと、それぞれの特性がよく理解できると思いますよ!

株式投資と不動産投資では、どんな違いがあるでしょうか?

株式投資を行っていて不動産投資に興味がある方、株式投資と不動産投資の違いついてなんだかよく分からないので知りたい方向けに、違いについてできるだけ分かりやすくお伝えできればと思います。

株式投資と不動産投資の違いについて、「注文」「市場」「投資」「収益」の観点から必ずしも一対一で比較できるわけではないでしょうが、それぞれの違いを比べてみたいと思います。

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株式投資と不動産投資の注文の違いについて

株式投資と不動産投資の取引について、注文の仕方に大きな違いがあります。

株式を売買する場合、大きく分けると「指値注文」と「成行注文」の二つがあります。

指値注文…証券会社に対し、希望の値段を直接指定して売買する注文。思わぬ価格で売買されることはありませんので、リスクは限定されていきます。

成行注文…値段を指定せず、今目の前の値段で売買する注文。予想外の価格で売買されてしまう可能性があります。とにかく売買を実現させたい場合、成行注文を用います。

一方、不動産投資は、買主が売主に対し「買付証明書」を出すことで取引が行われます。

買付証明書とは、不動産を購入する前の段階で、物件の購入希望者が売主に対して「物件をいくらで購入したいです」という意思表示を行う書類です。

不動産投資における買付証明書とは、株式投資における指値注文に近いと言ってもよいかもしれません。

株式投資は、単に株式を買うのか売るかのシンプルな二択でしかありませんが、不動産投資は、買付証明書に希望する価格を記載できる他、取引条件をつけることができます。

例えば、借入をせず現金で不動産を購入する場合交渉力が生まれますが、希望する値引き額を買付証明で提示できます。また、購入する物件に入居者がない場合、売主側で客付けを行った上で引き渡す等の条件も付けられます。

種類 注文先 形式 交渉余地
株式投資 証券会社 指値注文/成行注文 なし
不動産投資 仲介業者等 買付証明(指値注文) あり

株式投資と不動産投資の市場と取引について

一般的に株式投資は、「ハイリスク・ハイリターン」であり、不動産投資は、「ミドルリスク・ミドルリターン」と言われます。

株式投資の「ハイリスク・ハイリターン」とは、例えば、公開市場で刻々と価格が動き、株価次第では大きな利益が出たり損失が出たりする恐れがあります。

不動産投資は、株式投資に比べ、価格の変動は大きくなく、特に中古物件の場合、ある程度価格が下がりきって安定的といえます。一方で、家賃収入が安定的に入る可能性があることから、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンと言われます。

もちろん、株式は倒産などで紙くず(今は株券が電子化されていますが…)になりますし、不動産は事故物件などで借り手がつきにくくなる可能性もあります。

また、市場の違いで見れば、株式投資は、IPOと呼ばれる株式売り出しの「新発市場」と、通常の取引を行う「売買市場」があります。一方、不動産投資は株式市場ほど市場の区分けが明瞭でないと思いますが、「新築物件の売買」「中古物件の売買」「賃貸」で別れてきます。

株式投資は、一般には公開された情報に基づき取引が行われます。株式市場は、公開情報に基づき取引が行われ、インサイダー情報による取引は許されません。取引に関する情報は理論的には瞬時に価格に織り込まれるとされています。

一方、不動産投資は、必ずしも公開情報に基づかない情報が流通している印象があります。

また、不動産投資は、いわゆる株式市場のような公開の「マーケット」がありません。つまり、株式市場のように大勢が参加する市場はなく、売りたい人と買いたい人がクローズドな中で売主と買主の1対1の「相対取引」で行われます。

不動産業者と話しをしますと、よくここだけの話だとか、実はこの物件は中国人投資家と競っているのだとか、営業マンのセールストークかもしれませんが、確かめようがない、あるようなないようなアヤシイ情報が出てきたりします。不動産投資は、情報の捉え方にも注意する必要がありそうです。

良し悪しではなく、不動産投資とは、そういう世界と思っていた方が、戸惑うのも少ないのではないでしょうか。

種類 投資の性質 取引タイプ 市場の性質
株式投資 ハイリスク・ハイリターン マーケットによる取引 オープン
不動産投資 ミドルリスク・ミドルリターン 相対取引 インサイダー情報

株式投資と不動産投資のスタイルの違いについて

株式投資は不動産投資に比べポピュラーであり、必ずしも多額の資金を必要としなくとも株式投資ができるよう整備されてきています。

例えば、株式の投資額は、以前、売買単位は1,000株単位でしたが、2018年10月以降100株単位へと引き下げられました。また、証券会社によっては、一株から購入可能のサービスを謳うところも出てきているようです。

その点、不動産投資は売買単位というものはありませんし、株式投資に比べると多額な資金が必要といえます。

一方で、資金調達を考える場合、株式投資を目的で金融機関から融資を受けられませんが、不動産投資に対しては、金融機関は融資を受けられるという違いがあります。(もっとも、資金調達の話ではありませんが、株式投資には、少ない元手で取引額を広げるレバレッジを利かす手法があるかと思います。特に、プロではない場合、レバレッジ取引を行うことは稀かと思います。ここでは割愛いたします。)

極論しますと、不動産投資は自己資金がまったくない状況でも、全額借入によるフルローン方式で投資することが可能です。他人資本を活用すること、言い方は悪いかもしれませんが、「人の褌で相撲を取る」ことで、より多額でかつスピード感をもって投資を拡大できる点が不動産投資の醍醐味といえます。

また、投資への参入では、不動産投資は、株式投資に比べそれなりの知識が必要となります。

株式投資が決して勉強不要という訳ではありません。しかし、不動産投資は、経験を通して得るものもあります。物件の見定め方、不動産会社との付き合い方、管理や賃貸の募集、税金など、ある程度準備をして臨んだ方が良いといえます。

知識を持って始める点で、不動産投資は株式投資よりハードルの高さがあると思います。しかし、きちんと学べば決して難しいものではありません。ご安心ください。

ただし、いきなり不動産投資ではなく、株式投資などである程度の投資経験を積んで、不動産投資を始めるのが良いと私は思います。

種類 投資額 他人資本 参入性
株式投資 × 容易
不動産投資 勉強が必要

株式投資と不動産投資の収益の違いについて

投資には、保有資産の値段の変動によって得られる「キャピタルゲイン」と、ある資産を保有することで安定的・継続的に収入を受けられる「インカムゲイン」があります。

株式投資のキャピタルゲインは株式等の有価証券の売却益であり、配当等による収入がインカムゲインとなります。不動産投資の場合、キャピタルゲインは物件の売買益であり、インカムゲインが家賃収入になります。

ところで、別の観点からすると、株式投資は、会社の経営陣に資金運用をお任せする建前をとりますが、会社に資金をお任せする以上、投資家自らが働くこともなければ、できることもありません。何も働かない意味では、株式投資からあがる収益は、文字通り「不労所得」といえます。

一方、不動産所得もよく不労所得の代表格のように捉えられますが、実際は賃貸業であり、空き室や何かトラブルが出た場合、自らが働かなければならない場面があります。例えば、空き室となった場合、賃貸人の募集や、広告費を積むのか、またリフォームや工事業者の検討、損害保険などを検討します。

また、投資における収益の拡大性とうい面でも両者に違いがあります。

株式投資では、業績が伸びれば1株あたりの儲け(一単位あたりの儲け)は、理論的には青天井で増大します。

しかし、不動産投資の場合、一つの物件で無限に家賃を上げられませんので、一つの物件からあがる収益(一単位あたりの儲け)には限界があります。そのため、不動産投資は物件数を増やし、規模の拡大という傾向を帯びます。

さらに、税金面では、資産の売買は不動産投資・株式投資とも譲渡所得で共通ですが、株式投資における配当等は配当所得に位置付けられ、不動産投資は不動産所得となります。

また、不動産投資は、事業に相当しますので、自身で不動産所得の確定申告をしなければなりません。事業である以上、減価償却費や一定の経費の計上が認められています。

特に、不動産投資での減価償却費とは合法的に認められている節税方法でありますし、青色申告を用いれば、税額控除や損失の繰り越しという手法も使えます。しかし、株式投資ではそのような経費の計上は認められていません。

税金のコントロール・節税という面では、不動産投資は裁量の余地が大きく、株式投資は、利益が出た株式の売却益と損失が出た株式の売却損を相殺する損益通算ができますが、不動産投資に比べた場合、税務的なメリットは少ないのではないでしょうか。

種類 所得 特色 税金のコントロール
株式投資 配当所得 不労所得 ×
不動産投資 不動産所得 事業所得

「【初心者向け】4つの視点で「株式投資」と「不動産投資」を理解しよう」のまとめ

株式投資と不動産投資の違いについて比べてみました。違いを見比べることで、それぞれの特徴というものが、浮き彫りになったのではないでしょうか。

株式投資と不動産投資は、どちらが優れているとか劣っているというものではありません。

どちらも素晴らしい投資対象であり、個人的には是非両方経験に値すべきと考えています。株式投資と不動産投資の両者の違いをよく意識し、それぞれを行ってみてはいかがでしょうか。

特に、不動産投資を始める場合は、株式投資に比べハードルがやや高くなりますので、いろいろ情報を集め勉強して臨むのが良いかと思います。

ABOUT ME
キリオ
就職氷河期に社会人となり、某メーカーで経理を担当している、どこにでもいる中年サラリーマン。 過去2社の転職を経てようやく3社目にして、念願であった、学生時代に入りたかった製造業(会社ではない。)への転職を果たしました。 社会人になって読んだ「投資戦略の発想法」と「金持ち父さん 貧乏父さん」に感銘を受け、経済的独立を目指すべく、10年以上個人投資家を続けてきています。零細ですが、株式投資から始まり不動産投資を行います。 学生時代以来、自分の中では「組織」と「個人」のあり方がテーマではあるものの、なかなか周囲と共有できないことが多いと感じられ、また、発信力を鍛えることが大事と思い、このブログを始めるキッカケの一つに。 キリオノートは雑記ブログですが、キリオ自身、お金の話が好きです。 キリオノートは、「お金」の特化ブログではないものの、友達の前や職場であまり表立ってお金の話ができないこともあり、どうしてもお金系の話題が多くなるかもしれません。 一方で、仕事、投資、また、読んだ本や考えたこと、自分が迷い悩んできたこと、経験などを振り返りながら、試行錯誤しながら、モヤモヤした頭を整理する場です。 趣味は映画(現在は子育てに追われ停止中…)、読書、料理など。 性格は、細々継続していく地道なタイプ。腹筋運動・腕立て・軽いスクワットを続けて、学生時代から体重だけはほぼ変わず。(自慢できるオナカではありませんが、腹筋運動はもうすぐ30年。)そこだけ取り柄かもしれません。 保有資格は、日商簿記1級、証券アナリスト、国際公認投資アナリスト 現在、子育て真っ最中。子どもは可愛いものの、自分の時間がなかなか取れないのが今一番の悩み。 一男一女の父。