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阿武町の誤振込を笑えない。約200社へ総額30億円の振込事件にあった話

山口県阿武町で、住民税非課税463世帯に対するコロナ給付金の誤振込が、盛んに報道されました。
463世帯に振り込まれるはずの給付金総額4,630万円が、たった一人の男性に振り込まれた事件ですが、返還をめぐって町役場側ともめたこと、4,630万円の行方と使い道が、多くの人の興味と関心をひいたようです。
キリオは、約20年前に、約200社に対し総額30億円をバラバラに送金した振込事故を経験したことがあります。
振込事故の当事者として、阿武町の振込担当者の立場を想うと居ても立っても居られず、気の毒であり、他人事には感じられません。(振込担当者のことを笑う人もいないとは思いますが。)
阿武町の誤振込事件はともかく、経理の現場にいると、時折大なり小なり、支払モレ、金額違い、誤送金など、振込事故に見舞われることがあります。
この記事では、振込事故かを知りたい方に向け、キリオの経験を共有し、どのように振込事項を防ぐように努めるべきかを考えたいと思います。

この記事でお伝えしたいこと

振込事故やシステムトラブルは怖いです。
誤振込は起きるべき事故ではないですが、もし発生してしまった時は、誠実に対応する他ありません。

山口県阿武町の誤振込

阿武町の誤振込の概要は、多くの方の記憶に新しく、キリオがあえて説明するまでもないかもしれません。
しかし、後々のためにも、概要を簡単に述べておきましょう。
山口県阿武町でコロナ対策の給付金として、住民税非課税の463世帯に対し、一律10万円の給付金を支給したところ、誤って1世帯(一人の男性、24歳)に対し、全額4,630万円を振り込んだことが発端でした。
報道によれば、誤振込事件が発覚した当初、役場の方から振り込まれた男性へすぐに連絡をとり、男性からの返還の意思を確認していたといいます。(法的には、この時点で、資産差し押さえの仮処分を申し立てをすべきという指摘もありましたが。)
その後、町役場の対応とやり取りを巡って男性の気が変わってしまい、返還を拒んだことで連絡がつかなくなり、結果的にネットカジノにほぼ全額を使ったという顛末でした。(その後、4,630万円は全額回収されたそうです。)
振り込まれた男性の人物像や、資金の行方が多くの人の注目と関心を招きました。
誤振込の原因は、直接的には、銀行に出す振込データ(フロッピーディスク)と、出す必要のない銀行への提出書類(紙)を二重で提出したためでした。
紙の書類には、振り込むべき463名義の代表者として、今回誤振込で騒動となった男性が、筆頭で記載され、結果的に、銀行側が受け取った振込情報は筆頭で書かれた男性で二重となり、男性に対し書類で提出した全額4,630万円を振り込んだという事件でした。

山口県阿武町の誤振込の報道

報道によれば、町役場側の振込担当者は2名で、1名は新人の担当者、もう1名はベテランの担当者で、人手不足からベテランの担当者は兼務で振込の業務を行っていたということでした。
キリオの推測は、担当は2名のようですが、振込データの作成は二人でできませんので、直接的には新人の担当者が実質一名で手続きを行ったと考えるのが自然ですし、当然、新人ですから手続きに精通していたとは考えられません。
また、コロナ対策の一環として、全国の自治体で同様の給付金の振込対応に追われました。
常に給付金の振込対応があった訳ではありませんので、イレギュラー対応をしなければならない全国の自治体担当者等の負担は、相当なものであったと想像しています。
大変お疲れ様でございましたという気持ちである一方、阿武町の誤振込事件は、ある種イレギュラー対応の中から生まれた事件ではなかったか?とキリオは考えます。
経験的には現場が、通常と異なるイレギュラー対応を迫られると、大概ミスなどの事故が生まれてしまいます。
さらに、デジタル化されない環境の中で、すべての人に給付金を振り込む無謀な決定を行った政治の責任もあるのでは?とも思います。
一方で、町役場の業務プロセスやチェック体制、人手不足、引き継ぎができていなかったなど、上司の責任や業務プロセス体制を指摘する意見もありましたが、イレギュラー対応をせざるを得ない状況では、通常どおりにはなかなkいかず、チェック体制が十分機能するのも難しかったのではないかとも感じます。
担当者は、事件後、食事も喉を通らない状況とも聞きますし、心情を想像すると気の毒以外の言葉も浮かびません。
また、町役場にはクレームや苦情が寄せられ、電話対応等に追われているニュースもありました。
はからずとも全国ニュースとなり、方々から押し寄せられるプレッシャーは、キリオの想像を超えるものだったのではないでしょうか。
あえて町役場側の立場を弁護しますと、クレームや苦情を寄せる人というのは、おそらく時間に余裕がある人から出るものでしょうし、神経を使う振込業務がどんなものなのか経験したことがないからこそ、苦情が言えるのだとも感じます。
もし振込業務の大変さを多少なりとも分かっていれば、罵詈雑言や心無い言葉を浴びせるようなことはきっとないはずです。
一方で、銀行の対応も問題があったのではないでしょうか?
ただでさえ、銀行からは通常でも煩雑な手続きが求められます。
月末に銀行に寄せられる顧客からの振込依頼は、無数に寄せられるでしょうから、銀行側の事務負担も膨大ではあると思います。膨大な事務負担の中で、個々の振込依頼にいちいち個別には構ってはいられないのも本音でしょう。
しかし、送金処理後に、銀行から町役場への問い合わせがキッカケとなり事故が発覚したと言いますので、銀行側の対応は、「正直、遅すぎないか…?」という印象を持たざるをえません。
ある程度機械的に回さざるをえない事情は仕方がないにせよ、振込後に問い合わせをしたところで、後の祭りでしょう。

経理における振込業務の背景と前提

経理ではない人にも分かるよう、買掛金や未払金などの支払い業務の背景や前提を説明しましょう。
多くの会社では、仕入れや購入が行われると買掛金や未払金勘定で計上し、取引先との支払条件に基づき、おおむね月末にまとめて振込処理を行います。
振込額は多寡もあるため、一概には言えないものの、仕入先によっては、振込額が資金繰りに影響する場合もあり、振込業務とはミスが許されない業務のひとつといえます。

キリオが経験した約20年前の振込事故

キリオは経理畑のキャリアを歩んできていますが、経理としての最初の仕事は、買掛金の管理と仕入先に対する支払業務でした。
キリオも約20年前の5月末の支払で振込事故を経験しました。思い出したくはないですが、忘れてはならないとも考えています。
簡単に振込事故の概要を説明すれば、約200社に総額30億円を、本来支払わなければならない金額とは関係なく、バラバラに振り込まれた事故でした。
もしイメージがわかなければ、以前、某メガバンクでシステムトラブルが発生し、まったく無関係に多数の口座に送金が実行された事故のミニ版と説明すれば、理解が進むのではないかと思います。
本来、A社には6万円のみを支払えば済むのに対し、2億円を振り込まれた事故が発生しました。
阿武町の誤振込は、業務のオペレーション上のミスでしたが、20年前のキリオが経験した振込事故は、買掛金の新しい支払管理システムを導入したことに伴うシステムトラブルでした。

振込事故当日の経緯

振込事故が起きた日は、少し雲はありましたが、晴れた穏やかな朝であったと記憶しています。
当時、月末の振込は、月末から3営業日前までに財務チームに振込データを提出し、財務チームからファームバンキングシステムを通じて、振込データが銀行に送信される体制でした。
3営業日前までは支払確定のため猛烈に忙しく、忙しさから解放されれば、月末日は、比較的穏やかにすぎる予定でした。
振込事故が発生した日、朝、出社すると、ぽつぽつ問い合わせが寄せられ始めました。
振込が行われると、毎月必ず何かしらの問い合わせが寄せられますので、いつも通りの問い合わせだろうと、当初はそんな印象でした。
寄せられた問い合わせは、最初は、ある仕入先から、予定していた振込額と全然違っていておかしくないか?というものでした。
「まさか、そんなことはないだろう…」と感じながら、PCで支払確定データを調べましたが、仕入先側が主張する金額とは異なっており、キリオとしては間違っていないと思い、なぜ相手側は振込額が違うと言うかをなかなか理解ができません。
そうこうするうち、電話での問い合わせは、2件、3件と続きます。
その後、営業からも、何かおかしいのではないか?という問い合わせが仕入先から来ているとのクレームも寄せられはじめました。
8時代は、ぽつぽつとくる問い合わせに追われる状況が続きました。さっぱり状況を理解できなかったのを記憶しています。
しかし、9時をすぎ世間が動き始めると、問い合わせ数が増加し、電話がひっきりなしでかかってきました。
さすがに部内も、何か異常なことが起きていることを察知しはじめ、上司からは、「なぜ早く言わないのだ?」と軽い叱責を受けました。
自分が状況をよく理解できない以上、電話対応に追われ、打ち上げられる余裕などもありませんでした。
追い打ちをかけるかのごとく、次から次へと電話は鳴り続けます。電話に追われるばかりで、他の仕事にはまったく手が回りませんでした。
この時も、誰も一体何が起きたのか理解はできていませんでした。
猛烈な電話の嵐になり、何か異常なことが起きている雰囲気は経理本部全体にも伝わりましたが、誰も制止できません。
状況は、混沌という言葉以外の何ものでもなく、まさにパニック状態でした。
騒動を知った本部長も慌てて静止に入ろうとしますが、誰も聞くこともできません。皆それどころではないのです。自分のことで精一杯でした。
今思えば、危機の時こそ、人間の本性がよく現れるとも言いますが、いつもはえばっているくせに、慌てふためいて、何もできず真っ青になっている本部長の顔を今もよく覚えています。
昼休みも関係なく電話は鳴り続け、何が起きていたかをようや状況を知らされたのが、夕方16時すぎ頃だったかと記憶しています。

振込事故に対する対応

  1. 振込事故によるパニックの収拾を図るため、会社としては以下の対応を取りました。
    混乱のさなか、振込がまったくバラバラになされていると財務チームから指摘され、本来あるべき正しい振込データを再作成。至急、追加で振込の対応を行いました。
  2. すべての仕入先に対してお詫びの文書を作成し、可及的速やかに郵送いたしました。
  3. 翌日以降、部内のメンバーすべてで手分けをして、すべての仕入先の回収担当者に電話連絡をし、誤振込に対する組み戻しへの同意をお願いいたしました。

組み戻しへの同意の依頼の連絡とトラブル

組み戻し依頼に対し、仕入先の大半はおおむね問題なく同意していただけましたが、中には、もめてトラブルに発展する仕入先も出てしまいました。
もめた仕入先には、上司から再び連絡を行い、話をつけてもらうようにしましたが、トラブルが解決できない仕入先が、いくつか残りました。
特に、もめた理由のひとつは、誤振込が起きた直後に、銀行側が一部に対し相手の同意なしに強制的に組み戻しを実施してしまったことも影響しました。
もめた仕入先をひとつひとつ問題をつぶす形でつめましたが、最後、どうしても回収が難しい仕入先が結局、2社残ってしまいました。

組み戻しに激怒した仕入先

1社は、東京の中野にある会社でした。
先ほど説明したとおり、銀行による強制的な組み戻しが仇になり、感情的になった担当者が電話対応で恫喝され、収拾がつかなくなりました。
後日、上司が仕入先にお詫びに伺ったところ、電話ではとても怖い人の印象がありましたが、ごくごく普通の人の印象だったとのことです…。
やはり人間、本当の姿というのはよくわかりません。
感情的にもめはしましたが、最終的には組み戻しに同意して頂き、回収することができました。

資金繰りに苦しんでいた会社

もう1社は、資金繰りに窮していた淡路島の会社で、誤振込の入金があった際、すぐに別の支払いにあててしまい、返したくとも実際に返す金がないという仕入先でした。
淡路島の会社は、振込事故によって突然、たまたま2,600万円が入てきて、これはしめたということで、即、別の支払いにあててしまったようです。このため、返還できるお金や見込みもなく、返せる当てもありません。
最後は、本部長が淡路島の会社に訪問し交渉し、毎月少しずつ返していくということで合意したようです。結局、すべて回収されるまで、半年以上の時間を費やしました。

振込事件の原因とは

約200社の仕入先に対して総額30億円が振り込まれた振込事故は、システムトラブルが原因でした。
当時、キリオが勤めていた会社は、買掛金を管理する新しいシステムを構築し、導入したばかりでした。
新しいシステムは、4月からスタートしましたが、4月末の月末支払では誤振込はおきず、運悪く5月末で発生したのでした。
では、4月では振込事故すぐに発生せず、2回目の5月末の支払いでおきるとはやや不自然ではないか?というご指摘もあるでしょう。
いったい何がおきたのでしょうか?
ここに事故の胆があるのですが、事象は次のとおりです。
誤振込の原因は、システムでオペレーションを行うと、画面上では並べ替え(ソート)がされます。
しかし、画面では明細の表示の並びが変わりましたが、振込データは、金額の並びだけが変わってしまい、仕入先の並びが変わらないという事象でした。
4月時点では、オペレーションで明細の並び替えをたまたま行わなかっただけで、事故につながらなかっただけでした。
4月には振込事故は起きなかったものの、5月にキリオが並べ替えの操作を行い、不幸にも5月末で事故が起きたという次第です。
なぜ、振込事故につながったのでしょうか?
無論、4月に行わなかったオペレーションを5月で行ったのが直接要因ですが、ベンダーが作成したプログラムに欠陥があったことが分りました。
つまり、プログラムの不具合であり、品質が悪かったためのシステムトラブルでした。
開発費をケチったから振込事故につながったのだろう?という指摘もあるかもしれませんが、キリオには、そのあたりの事情はよくわかりません。
後々聞いた話によると、システムの製作を請け負ったベンダーの下には、2次請け、3次請けでプログラムを開発しており、構造的な問題で発生した事故ではないかとのことでした。
ベンダーに対して損害賠償を請求する形で、責任を追及できないか?という声も会社内からはあがりましたが、定かではありませんが、契約上相手を訴えることはできないと聞きました。
実に理不尽な話であります。当時はひどい話であると憤ったのを記憶しています。
もっとも、システム構築をした時点で、システムテストで振込事故につながる不具合を見つけられなかったという、こちら側の落ち度もあったのかもしれません。
いずれにしろ、損害賠償を請求できない理由は定かではありませんが、約20年前の振込事故の経験を通じ、システムは便利な反面、事がおきるととても怖い…と感じました。

振込事故を防ぐための対策

ここまで、キリオが経験した総額30億円の約200社に対する振込事件について共有してきました。
勤める会社が違うといえども、今もキリオは経理畑を歩んでいます。
もう20年以上も前の事件ではありますが、月末になると、今も自分が経験した振込事件が頭をよぎります。ある意味、トラウマといってもよいのかもしれません。
もっとも、一旦安定稼働したシステムのプログラムが突然変異して、振込事故を起こすことは考えにくいです。(外部から操作されれば別ですが。)
慎重には慎重を期すため、毎回、システムに異常がないかについてシステムテストを行うというのは、ナンセンスな話であります。
しかし、人がオペレーションを行う以上、振込事故が今後もまったく起きないとは限りません。
では、どうすれば振込事故を防げるでしょうか?
正直、キリオもいまだ完全な答えを持ち合わせていません。

振込データまで見る

注意していくしか他ないのかもしれませんが、例えば、キリオが現在勤めている会社の月末支払でも500件以上の振込先があります。
仮に、500件が再びバラバラに振り込まれたならば、悲劇であると以外、言葉が見つかりません…。
月末の3営業日前には、月末振込のデータを確定させてはいますが、月末の振込までにすべての振込内容について、例えば請求書などからおっかけて、本当に間違いがないのか?すべて振込内容や銀行口座を精査してくことは、時間的にも厳しく、正直余裕もありません。
ただし、一つひとつを細かくは見られないにしろ、振込データをざっとでも良いにしろ内容を確認し続けることは必要ではないかとも思います。
ざっとで何か分かるのか?ただ安心を得たいがための自己満足ではないの?という指摘もあるかもしれません。
しかし、まったく何も見ないよりはましですし、見続けることによって、例えば、いつもならこの仕入先は、いくらぐらいのはずなのに、異常な金額があれば、気づける可能性やカンも働きます
他とは際立って大きい金額など少しでも気になる点があれば、担当者に合理的な理由等を確認することも必要でしょう。

整合性や合理的に着目する

また、データの整合性や変化点についても留意していくのも良いと思います。サンプルチェックも有効かもしれません。
元々、一旦請求書の積み上げ等で確定した支払額は、基本的には振込(予定)額と同じであるはずです。
もし確定した支払額(データ)が、振込額(予定)額と異なるのであれば、何らかの操作がどこかで加えられた可能性があります。
操作が加えられること全てに問題がある訳ではなく、合理的な理由であれば、妥当な処理と考えられます。あくまで、整合性や合理性に注意すべきです。
整合性や変化点に留意するという点も、ひとつの振込のチェック方法といえるのではないでしょうか。

振込事故を通して分かったこと

今でも20年前の振込事故に、なぜ見舞われてしまったのか?がよくわかりません…。
前世での行いが良くなかったのでしょうか…?
それは冗談として、振込に対し緊張と恐怖を感じますし、もう二度と同じ経験はご免です。
また、振込事故を巡って一体何の意味があったのかも分かりませんし、得られた教訓や反省すべき点は何だったのか?正直、自身に問うもののいまだによくわかりません。
たまたま向こうから運悪くぶつかってきた交通事故にあったような気分もありますし、被害者ぶる訳ではありませんが、とんだ手荒い「洗礼」を受けたなという気もしております。

ただし、ひどい目にはあって教訓となるようなことは何もないのですが、分かったことはありましたので、言語化できる範囲で共有したいと思います。

振込データも確認すべき

阿武町もチェック体制がなっていないという指摘もあるようですが、実際、上司が部下の業務の些細な部分について手取り足取り見ることは不可能です。
また、通常、振込関係の承認書類がきたら、支払確定の書類を見るにとどまり、データまでを確認しないのが普通ではないでしょうか。
実際にローデータまで見られるかはともかく、当たり前ではありますが、社内の支払確定を行った書類(データ)と振込データ(FBデータ)の整合性については、できる限りで最低限確認するようにするべきです。
もっとも、阿武町の誤振込は、データを見ることはできなかったので当てはめりませんので、少し的外れでナンセンスな指摘となるかもしれません…。

 パニックの中では、通常の指揮・命令系統はほとんど機能しない

2021年5月末で発生した振込事故での混乱ぶりをお伝えしましたが、パニックの現場にたつと、メンバーは自信の対応で精一杯です。
上の制止や指示などはまったく聞こえません。人間がパニックの中にいる状況というときは、そもそもそういうものなのかもしれません。
あくまで、組織が適切に機能するのは、通常モードのときだけであり、危機状況は個人の必死の対応にもとづきます。
人が緊急事態に直面する状況、例えば、災害現場や事故なども同様のことなのかもしれません。

 お金を扱う仕事とはシビアな世界である

経理は間違わないイメージを持たれるかもしれません。
しかし、人間である以上、必ずミスや勘違いは伴いますし、過ちが発生するというのはある種避けらないのは、古今東西仕方がないことでもあります。
正直、経理の分野で支払確定の業務は、注意力は必要なものの、高度なスキルや知識必要はありません。
ただし、キリオも長らく支払の仕事を行ってきたので分かりますが、一方で、とても大事な仕事で、神経を使う仕事です。
お金を扱う以上、プレッシャーもありますし、単調な作業中心で、誰でもできる仕事と誤解される傾向があるのではないでしょうか。
しかし、やったからこそ分かる世界ですが、振込業務がなければ世の中にお金がまわりません。縁の下の力持ちかもしれませんが、とても大事な仕事なのです。

「阿武町の誤振込を笑えない。約200社へ総額30億円の振込事件にあった話」のまとめ

山口県阿武町の誤振込と同様の事件かはともかく、振込事故は(システムも含め)人間が行う以上、時々おき続けると思います。
キリオも約20年前に、総額約30億円を200社にバラバラに振り込んだ振込事故を経験しました。
正直、この事故から何を学ぶべきなのか、いまだによく分かりませんし、とんだ理不尽な経験であったと思っています。もう二度と同様の経験はしたくありません。
ただし、事故が起きた時や危機の時には、仮に自分をかばおうするのではなく、誠実に仕事をする他ありません。
やや説教くさくはなりますが、普段は誠実ではなくとも良いという意味ではなく、危機の時こそ、つい自分のことをかばってしまいがちですが、自分をかばうのをほんの少しだけ我慢しながら、誠実に対応していくほかないと思うのです。
また、振込事故のようなヒドイ目にあいますと、良くも悪くも、何かが起きてもよほどのことでは驚かなくもなったと思います…。
山口県阿武町の振込担当者は、若い人であり、事故が発生した当初は、食べ物も喉を通らなかったとも聞きます。担当されている方の心中を察すれば、生きた心地もしなかったでしょうし、大変な状況にあると同情します。
まだ若く未来もありますので、この事件に決してめげずこの先も頑張ってくださいと、エールを送りたいと思います。
また、山口県阿武町の担当者に限らず、役所や会社、あらゆる組織で、今日もコツコツと振込の仕事に携わられている方にも、お疲れ様ですとお伝えしたいですし、影ながらエールをお送りたいと思います。
そして、振込事故発生時、まだ若かったキリオをかばい、不眠不休で動き全力で事態の収拾に努められた当時の上司には、今も感謝しても感謝しきれません。

本当にありがとうございました。

ABOUT ME
キリオ
就職氷河期に社会人となり、某メーカーで経理を担当している、どこにでもいる中年サラリーマン。 過去2社の転職を経てようやく3社目にして、念願であった、学生時代に入りたかった製造業(会社ではない。)への転職を果たしました。 社会人になって読んだ「投資戦略の発想法」と「金持ち父さん 貧乏父さん」に感銘を受け、経済的独立を目指すべく、10年以上個人投資家を続けてきています。零細ですが、株式投資から始まり不動産投資を行います。 学生時代以来、自分の中では「組織」と「個人」のあり方がテーマではあるものの、なかなか周囲と共有できないことが多いと感じられ、また、発信力を鍛えることが大事と思い、このブログを始めるキッカケの一つに。 キリオノートは雑記ブログですが、キリオ自身、お金の話が好きです。 キリオノートは、「お金」の特化ブログではないものの、友達の前や職場であまり表立ってお金の話ができないこともあり、どうしてもお金系の話題が多くなるかもしれません。 一方で、仕事、投資、また、読んだ本や考えたこと、自分が迷い悩んできたこと、経験などを振り返りながら、試行錯誤しながら、モヤモヤした頭を整理する場です。 趣味は映画(現在は子育てに追われ停止中…)、読書、料理など。 性格は、細々継続していく地道なタイプ。腹筋運動・腕立て・軽いスクワットを続けて、学生時代から体重だけはほぼ変わず。(自慢できるオナカではありませんが、腹筋運動はもうすぐ30年。)そこだけ取り柄かもしれません。 保有資格は、日商簿記1級、証券アナリスト、国際公認投資アナリスト 現在、子育て真っ最中。子どもは可愛いものの、自分の時間がなかなか取れないのが今一番の悩み。 一男一女の父。