資格

資格を取る意味と経理において簿記の資格をとるべきか考えてみました

資格て必要でしょうか?
資格の取得にはメリットとデメリットがありますよ

経理系での代表的な資格には、主に「簿記」「税理士」「会計士」などがあります。
経理を行ううえで資格は必要か?、資格は役に立つのか立たないかの?、あるいは、資格をとるべきか必要ないのか?が話題にのぼります。

キリオは、20代から30代の前半にかけ、日商簿記1級と証券アナリストの資格を取得しました。
ふたつの資格を取得して良かったと思う反面、反省すべき点も感じています。

この記事では、資格の取得について考えてきたことを整理したいと思います。
経理で資格が必要かについて悩んでいる方、あるいは、日ごろ資格って必要なの?と感じられている方、そして、昔のキリオに向けてこの記事を共有したいと思います。

この記事でお伝えしたいこと
  1.  経理は、資格がなくとも十分に務まる仕事です。ただし、経理をより理解をしたいならば資格は必要です。特に、経理畑を歩もうとする人は、「資格」と「実務経験」の二つを掛け合わせながら、職業人生を歩みましょう。
  2.  資格取得には、良い面と悪い面があります。メリットとデメリットを比較して、本当にその資格が自分にとって必要かをよく考えましょう。
  3.  資格が何かを学ぶ「手段」であると考えるならば、資格取得は最適な方法です。一方、資格の取得がたんに「目的」ならば、資格取得の努力をやめるべきです。むしろ副業や趣味など、本当に自分に必要だと思うことにエネルギーと時間を使いましょう。

経理に資格は必要か?

経理の仕事をするには、簿記は必要ですか?とよく聞かれることがあります。
キリオの独断と偏見で申し上げれば、経理の仕事は、簿記の資格がなくとも十分に務まります。

転職2回、上場企業、非上場企業の二つを経験してきていますが、会社ごとで多少やり方の違いはあるものの、経理に大きな違いはないと感じています。

経理とは、「簿記検定」が成立するぐらいですから、会社の違いにかかわらず比較的一般化・標準化された仕事かもしれません。

また、経理職で「簿記2級以上」が必要という求人票をよく目にします。簿記の知識があるに越したことはないですが、簿記の資格がなくとも、仕事の手順を踏みさえすれば誰にでも仕事はできます。

一方、経理分野も分業が進んでおり、ローテーションがされていないケースもあるようです。
入社以来ずっと同じ仕事をし、例えば、売掛金の回収や支払業務にその道一筋20年以上という職人もいたりします。

同じ仕事をずっと繰り返せば熟練になる一方、マンネリ化も進み、飽きがくるでしょう。
職人スタイルでかまわない人は、ずっと同じ仕事を続けるスタイルが良いかもしれません。

しかし、同じことを続ける職人タイプの働き方が、今後も安泰かどうかは未知数と言わざるを得ません。

今後の社会や経済情勢を考えれば、ますます労働力不足や雇用の流動化が進むでしょうし、世の中の動きは早まります。
会社やビジネスの寿命が短くなる中、従来の経理マンというスタイルも変わらざるをえないでしょう。

ずっと同じ仕事を続けることが、かえって自分の職業生命を危険にさせることになるかもしれません。

経理において、簿記は必ずしも必要ないのですね

経理は資格があった方が良い

誤解を恐れず申し上げれば、経理は、簿記の資格がなくとも務まります。

では、簿記を知らなくていいのか?といえば、そんなことはありません。
キリオは、簿記の知識はとても必要だと考えています。

経理の仕事を単なる作業と捉えるのではなく、さらに上のステップで考えるならば、簿記の資格は必須です。
特に、応用が必要な場面では、簿記の資格があるかないかで、その後の仕事のパフォーマンスは違うでしょう。

簿記の資格があれば仕事の判断は早まりますので、経理の仕事についてり深く理解できます。また、転職の場面でも有利となるでしょう。

例えば、中途採用面接を行う側を経験すれば実感できますが、同じキャリアの人が面接に来た場合、単なる面接だけでは正直判断がつけられないことを感じるはずです。

結局、学歴や資格といった目に見える部分、あるいは、単に好きか嫌いで、採用の可否が決まってしまうのが現実です。

資格を取りさえすれば転職に必ず有利とは言いませんが、資格のありなしで合否が決まる面は否めないのではないかとキリオは考えます。

また、転職後に仕事を覚え引き継がないといけない場面でも、資格があるかないかで習得のスピードに差が出てきます

例えば、標準化されている経理であっても、会社のカルチャーや担当者のクセで、仕事内容が分かりにくくなることがあります。

仮に分かりにくい仕事の流れでも、簿記の資格があれば基礎がありますので、背後にどのような考えとなっているのかがわかり、本質を見失わないで済みます。
基礎を理解していれば、仕事を覚えやすくなりますし、習得の速さは格段に違うはずです。

それでも簿記の知識はとても大事ですし、次のステップを考えるならば資格はあった方がよいのですね

簿記の資格のメリットとデメリット

経理を行うにあたって簿記の資格は必ずしも必要はないですが、持っておいた方が良いと考えます。
なお、簿記の資格を取得するメリットとデメリットは次のとおりです。

メリット

簿記はお金の計算の仕方を教えてくれます。簿記の資格を取得することで、会計がよく理解できます。多くの仕事の基礎力となり、お金や会計に対する関心が高まります。

デメリット

簿記はお金の計算の仕方を教えてはくれますが、必ずしも稼ぎ方やお金持ちになる方法を教えてはくれません。

また、簿記の資格を取得したがため、職業選択の範囲が経理分野に限定されてしまう可能性もあります。

さらに、簿記の資格は独占業務でもなく、会計士や税理士のように独占業務ではなく、独立開業することはできません。

あくまで簿記の資格は、雇われる可能性を高める資格にすぎないと考えたほうがよいでしょう。

経理の実務と簿記の資格との違い

簿記の資格のメリットとデメリットを述べましたが、経理実務と簿記の世界の違いは何でしょうか?

実務の世界は、資格より論点が深い面があります。また、実務は、必ずしも資格で習わない論点が出てきます。

一方、資格の世界は、あくまで基礎であり、体系的な知識を広く浅く勉強できます。
さらに、資格の勉強をすれば、実務では決して出会わない領域の知識を知る機会も得られます。
体系的な知識がないまま、実務経験を積んでも本質的理解へは至らないでしょう。

実務の世界は深く、資格は広く浅く満遍なくなのですね

資格のメリットとデメリット

ここまで簿記中心に述べましたが、一旦簿記の話を離れ、一般的な意味で資格を取得するメリットとデメリットを考えていきたいと思います。

資格のメリット

1. 基礎が確立される

資格は体系的に学べるカリキュラムとして設計されており、順を追えば最短で学べられる仕組みとなっています。

体系的な知識が身につけば、同じ分野について新しい他の知識を習得しないといけない場合、習得のスピードも速まります。基礎が固まれば、応用力も発揮できるでしょう。

2. 客観的に一定の品質(実力)があると認められる

資格という形で客観的な基準で測られ、一定水準の品質(実力)を保有していることを第三者に証明できます。

品質を証明することは、就職や転職に有利に働きますし、職業選択の自由度と雇用されうる能力につながります。もちろん年収アップ等への期待も高まります。

資格を取得すると、基礎力がつき、客観的な実力の証明になりますね

資格のデメリット

1. 資格をとった時が実力のピーク

勉強中は知識レベルが向上していきますが、忘れていきます。

例えば、幸い努力が実り試験に合格したとします。その時が知識のピークでしょう。
一方で人間は忘れる動物ですから、資格取得の勉強を終えるとどんどん忘れていきます。(忘れ度合いを自覚したとき、ある種、愕然とするものです…(笑))

資格取得後におけるメンテナンスやブラッシュアップこそがいかに大事かであり、ある意味、資格をとってからが本当のスタートといえるのかもしれません。

2. 職業の選択肢が限定されてしまう可能性がある

資格を取得すると、雇用されうる力は増すと期待されますが、ある資格を持つことによって、他の分野を選択する道が狭められてしまう可能性も出てきます。

資格だけもっていて違う分野の職業に就いて活躍されている方も大勢いるかもしれませんが、例えば、日商簿記1級を取得すると、どうしても専門性があると見られてしまい、職種は経理に限定されるでしょう。

好きでとった資格であるならば、職業選択の余地が限定されてもおそらく問題はないでしょう。

3. 資格を取得したからといって、一生安泰とは限らない

資格を取得して独立開業して食っていけるほど甘くはありません。

よく言われる話ですが、本当に資格だけでくっていける職業は、医者と弁護士と会計士ぐらいとも言われます。

医者、弁護士、会計士以外の他の資格で独立開業をしている方も多くいますが、むしろ単に資格の力ではなく、「営業力」があるかないかとも言われます。

4. 資格を取得することで自身の価値があがる幻想や錯覚を持ってしまう

資格を取得することで雇用されうる力が増し、労働市場での自身の価値も高まることと思います。

にもかかわらず、ひとつの資格に飽き足らず、二つ、三つ目の資格を目指してしまうことがあります。

確かに、資格取得のためにストイックに努力することは尊いですし、難関資格を複数持てば、あたかも労働市場での自身の価値がもっと高まるものと感じられるかもしれません。

しかし、一つ目の資格ならともかく、2つ3つ資格をとったところで、資格の価値において「収穫逓減の法則」のような話につながります。

収穫逓減の法則とは、簡単に言えば、投入量がある点をすぎると期待するほどのアウトプットが伸びなくなる効果を意味します。

つまり、最初にひとつめの難関資格を持つことは、それなりにその人の労働市場での価値が高めるでしょうが、2つ目以降の資格を取ったところで、最初の資格を取ったときほどの効果や価値は期待できなくなります。

軍人の勲章のように戦功を表した象徴として、資格をじゃらじゃらぶらさげたところで、周囲はすごいですねと言ってくれるかもしれません。

しかし、所詮、複数の難関資格を取得することは、ある意味、自己満足であり、自己陶酔感にひたることにすぎません。たんに資格ゲッターでしかないのです。

勲章を増やすことはすばらしいことだという意見も中にはあるかもしれませんので、一概に資格を取り続けることの良し悪しを言える話ではないのかもしれません。

ただし、資格を取るにはそれなりの時間を要するでしょうから、もし単に勲章を増やすためだけの資格であるならば、時間の浪費以外何物でもないとキリオは考えます。

資格をとったから安泰とは限らないし、資格の取得が目的化するならば、単なる資格ゲッターになってしまいますね

「資格を取る意味と経理において簿記の資格をとるべきか考えてみました」のまとめ

ここまでの話を再びまとめます。

まとめ
  1.  経理は、資格がなくとも十分に務まる仕事です。ただし、経理をより理解をしたいならば資格は必要です。経理畑を歩もうとする人は、「資格」と「実務経験」の二つを掛け合わせながら、職業人生を歩みましょう。
  2.  資格取得には、良い面と悪い面があります。メリットとデメリットを比較して、本当にその資格が自分にとって必要かをよく考えましょう。
  3.  資格が何かを学ぶ「手段」であると考えるならば、資格取得は最適な方法です。一方、資格の取得がたんに「目的」であるならば、資格取得の努力はやめるべきです。むしろ副業や趣味など、本当に自分に必要だと思うことにエネルギーと時間を使いましょう。

資格を取得することのメリットとデメリットを述べてきましたが、世の中の動きも早まっており、資格だけ持てば一生安泰とは限りません。

一方、今後の労働環境を考えると、多かれ少なかれメンバーシップ型からジョブ型に移行していくのは避けられない動きとなるでしょう。

また、日本は欧米のようにロースクールやビジネススクールに入って実務に直結する教育はあまりとられていません。

職業の安定性が崩れる世界やジョブ型への移行、職業教育における環境で、資格の取得プラス実務経験を掛け合わせながら、個人の生き残りを考えていくというのは、現実的な戦略ではないかと思います。

しかし、資格取得がいつしか目的化してしまったり、何のための資格であるのかが欠落して、資格さへとれれば何とかなるなどと盲目的になってしまったりして、時間を費すのであるならば、ある種の「収穫逓減の法則」のような事態につながりかねません。

人生の時間は有限です。
もし、同じ時間を使うのであれば、今のキリオならば、少しでも稼ぐことや、自分が本当に好きなことに時間を使うべきと考えます。

繰り返しになりますが、資格の取得に意味がないわけではありませんし、取得のための努力は大事なことです。

ある分野について知りたい、かつ、その手段として資格を目指すのであれば、資格取得はありだと思います。

ABOUT ME
キリオ
就職氷河期に社会人となり、某メーカーで経理を担当している、どこにでもいる中年サラリーマン。 過去2社の転職を経てようやく3社目にして、念願であった、学生時代に入りたかった製造業(会社ではない。)への転職を果たしました。 社会人になって読んだ「投資戦略の発想法」と「金持ち父さん 貧乏父さん」に感銘を受け、経済的独立を目指すべく、10年以上個人投資家を続けてきています。零細ですが、株式投資から始まり不動産投資を行います。 学生時代以来、自分の中では「組織」と「個人」のあり方がテーマではあるものの、なかなか周囲と共有できないことが多いと感じられ、また、発信力を鍛えることが大事と思い、このブログを始めるキッカケの一つに。 キリオノートは雑記ブログですが、キリオ自身、お金の話が好きです。 キリオノートは、「お金」の特化ブログではないものの、友達の前や職場であまり表立ってお金の話ができないこともあり、どうしてもお金系の話題が多くなるかもしれません。 一方で、仕事、投資、また、読んだ本や考えたこと、自分が迷い悩んできたこと、経験などを振り返りながら、試行錯誤しながら、モヤモヤした頭を整理する場です。 趣味は映画(現在は子育てに追われ停止中…)、読書、料理など。 性格は、細々継続していく地道なタイプ。腹筋運動・腕立て・軽いスクワットを続けて、学生時代から体重だけはほぼ変わず。(自慢できるオナカではありませんが、腹筋運動はもうすぐ30年。)そこだけ取り柄かもしれません。 保有資格は、日商簿記1級、証券アナリスト、国際公認投資アナリスト 現在、子育て真っ最中。子どもは可愛いものの、自分の時間がなかなか取れないのが今一番の悩み。 一男一女の父。