玄関先で遭ったベビーカーの盗難をキッカケに家財保険を解約しました。
この記事は、家財保険を検討している人、ベビーカーを持っているパパ・ママ向けに話をしたいと思います。
この記事での結論は、以下のとおりです。
- ベビーカーも盗難に遭う可能性があり、注意が必要です。
- ベビーカーの盗難は家財保険が適用されない可能性があります。
- 柔軟な判断がなされないならば、家財保険は解約すべきす。
Gerd AltmannによるPixabayからの画像
ベビーカー盗難
娘が生まれ、phil&teds(フィルアンドテッズ)という海外メーカーのベビーカーを奮発して買いました。
1カ月程度しか使用していないにもかかわらず、自宅前で盗難です。(娘に何事もなく無事だったのは本当に幸いでした。)ショックはとても大きいものでした。
玄関の前に軽い段差があるため、帰宅した際、娘を抱っこして先に家に入りました。道路(公道)にベビーカーを横付けし、ベビーカーを取りに戻ったところ、すでに影も形もなくなっていました…。
その間、わずか5分足らず。驚きと怒りで、ア然とさせられました…。
少々ベビーカーが目立ったのも事実ですが、車や人の往来も比較的多く、治安が悪いという印象はありません。転売目的だったのでしょうか。
すぐに警察に連絡をしたところ、警官は、開口一番、「ベビーカーは見つかんないっすよ…。で、どうしたいんですか?」と言う始末…。
盗まれたベビーカーが見つかるとは、正直思ってはいませんが、泣き寝入りするには悔しいため、被害届を出しました。
後々ネットで調べてわかったことですが、ベビーカーの盗難もけっこうあるらしいのです。
家の前でも盗っていく人は、持って行ってしまいますので、盗難には十分気をつけください。
家財保険の保険証券を読んでみた
家財保険に入っていたので、保険代理店を通じ、ベビーカー盗難に対して補償されるのか問い合わせてみました。
しかし、代理店の担当者からは、建物の軒下なら保険が適用される可能性があるが、道路だと建物外となり、適用されないと伝えられました。
そこで、ほとんど目を通したことがなかった保険証券読んでみることにしました。
あらためて目を通しましたが、こんなふうに書かれています。
保険金のお支払い対象となる事故 -基本契約-
〇…補償されます。 ×…補償されません。
事故の区分 (損害保険金) | 保険金をお支払いする場合 (下記の事故によって保険の対象が損害をうけたとき) |
---|---|
〇 | 火災、落雷、破裂または爆発 |
〇 | 台風、旋風、暴風、暴風雨等の風災、雹災または豪雪、雪崩等の雪災 |
〇 | 台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ等の水災 (「保険の対象に30%以上の損害は生じた場合」または「床上浸水となり保険の対象に損害が生じた場合」にかぎります。なお、「床上浸水」とは、居住の用に供する部分の床を超える浸水または地盤面より45㎝を超える浸水をいいます。) |
〇 | 建物の外部からの物体の落下、飛来、衝突、接触もしくは倒壊建物内駐車場等での車両もしくはその積載物の衝突もしくは接触 |
〇 | 給排水設備の事故または被保険者以外の者が占有する戸室での事故に伴う漏水、放水または溢水(水が溢れることをいいます。)による水濡れ |
〇 | 騒擾およびこれに炊事の集団行動または労働争議に伴う暴力行為もしくは破壊行為 |
〇 | 盗難による盗取・損傷・汚損 |
〇 | 保険主権記載の建物内における生活用の通貨等(通貨および小切手をいいます。)、預貯金証書、印紙、切手または乗車券等の盗難(家財が保険の対象に含まれる場合のみ) |
〇 | 破損・汚損等、上記以外の不足かつ突発的な事故 |
この表を見る限りでは、「盗難」は保険の対象と読めます。
しかし、すぐ下に、こんな注意書きが書かれています。
保険金をお支払いできない場合については、個人用火災総合保険普通保険約款第2章補償条項第4条(保険を支払わない場合)(19ページ)を必ずご確認ください。
そこで、保険証券の19ページにある、第4条(保険を支払わない場合)を見ますと、さらにこんなふうに小さくも書かれていました。
第4条(保険金を支払わない場合)
(1) 当会社は、次の①から⑦までのいずれかに該当する事由によって生じた損害または費用に対しては、保険金を支払いません。
① 保険契約者、被保険者またはこれらの者の法定代理人の故意もしくは重大な過失または法令違反
② 被保険者でない者が保険金の全部または一部を受け取るべき場合においては、そのものまたはその者の法定代理人の故意もしくは重大な過失または法令違反。ただし、他の者が受け取るべき金額については除きます。
③ 被保険者または被保険者側に属する者の労働争議に伴う暴力行為または破壊行為
④ 保険の対象である家財の置き忘れまたは紛失
⑤ 保険の対象である家財が保険証券記載の建物(保険の対象である家財を収容している付属建物を含みます。)外にある間に生じた事故
⑥ 運送業者または寄託の引受けをする業者に託されている間に保険の対象について生じた事項
⑦ 第2条(損害保険金を支払う場合)(1)の①から③までの事故、同条(1)④のア.からウ.までの事項または前条②の事故の災における保険の対象の盗難
要するに、「盗難」は補償の対象だが、建物の外にある場合、保険金を支払わない、と言っていることがわかります。
保険証券に支払わないと書かれている訳ですから、仕方がない…とも頭では理解できます。
実際、保険会社にも直接問い合わせてもみましたが、建物外で発生しているという理由から、保険金の支払いは断られました。
ベビーカーは家財か?
ベビーカーは、建物外にあるかもしれないが赤ちゃんのいる家にとっては、立派な「家財」です。
事実、「家財で含まれないもの」については、(保険の対象の範囲)の「保険の対象に含まれないもの」として、このように記載されています。
家財に含まれないもの
次のア.からオ.までの物は、家財に含まれません。
ア.自動車、自動三輪車および自動二輪車および自動二輪車(総排気量が125CC以下の原動機付自転車は家財に含みます。)
イ.通貨等、有価証券、預貯金証書、印紙、切手、乗車券等((注)ただし定期券は家財に含む)その他これらに類する物
ウ.商品・製品等
エ.業務用の什器・備品
オ.テープ、カード、ディスク、ドラム等のコンピュータ用の記録場依頼に記録されているプログラム、データその他これらに類する物
((注)書き等は一部省略)
また、参考ですが、下記のような高額のものは、保険契約で明記されていれば支払うということになるそうです。
明記物件
次のア.またはイ.の物(以下「明記物件」といいます。)は、保険証券に明記されないかぎり、家財に含まれません。
ア.貴金属、宝玉および宝石ならびに書画、骨董、彫刻物その他の美術品で、1個または1組の価額が30万円を超えるもの(以下「貴金属・宝石等」といいます。)
イ.稿本、設計書、図案、雛形、鋳型、木型、紙型、模型、証書、帳簿その他これらに類する物
((注)等は一部省略)
保険証券の「家財に含まれないもの」を読む限り、そもそも「家財に含まれないもの」として、「ベビーカー」とは明記されてはいません。ですので、ベビーカーは立派な「家財」と考えてよいと思います。
しかし、ベビーカーは、使わない時は建物内に収容されますが、外で使うのが前提の「家財」です。
建物内にある物品が家財であるとするならば、外での使用を前提とする、「総排気量が125CC以下の原動機付自転車」は、保険証券でも「家財」であると定義され補償の対象と言っていますので、これとは矛盾します。
「総排気量が125CC以下の原動機付自転車」も「ベビーカー」も車輪がついて建物外で利用するという点では、本質的な違いはないはずです。
保険証券における建物外について
赤ちゃんのいる家庭にとっては、ベビーカーは特別な意味を持つ「家財」です。
赤ちゃんがいると、親の行動の自由はききませんし、赤ちゃんの安全を最優先するよう行動しようとするため、ほんの一時的でもベビーカーを家の外に置くこともあろうかと思います。
建物の外だから保険金を支払わないという理屈は、保険証券での記載通りですが、「建物外」という理由で保険金を支払わないのであれば、保険証券の「家財でないもの」に、あらかじめ「ベビーカー」も明記しておくべきではないでしょうか。
保険会社は携行品の「特約」がつけられていれば、保険金を支払えたと言います。しかし、ベビーカーは、家の中に収納する一方、建物外で利用する「家財」です。携行品ではありません。携行品とは、身につけて持って行くものであり、とてもベビーカーが携行品というイメージはありません。
また、携行品の特約についは、加入時に特約についての説明もありませんでした。やや後出しじゃんけん的だと感じざるを得ません。
最後に、決まり文句だと思いますが、「お役にたてず申し訳ございません。」と保険会社の人は言いました。
しかし、家財保険に入ってもベビーカーひとつ守られず、大事な時にお役にたてられない保険であるならば、加入者としてもこれ以上保険料を払い続ける意味は乏しいと感じました。加入者としても今後このような保険に入り続けるという、お役には立てません。
このような経緯もあって、家財保険に入る意味は費用対効果の点であまりないと考えています。
保険会社 二重の意味でお客を失う判断
ここで申し上げたいのは、今回のベビーカーの盗難について、保険会社に特別扱いしてくれと言いたいのではありません。
公道とはいえ、側溝の上の家の敷地の塀にぴったり横付けして盗難に遭いました。
建物の中か外か、その境を巡って保険適用を杓子定規に判定するような保険会社は、人の生活や心の機微を理解しているとは言えません。保険会社には限りなく建物内であるという柔軟な判断をしてほしかったと考えています。
保険の判断は、杓子定規で行うものではなく、「確かに公道ですが、家の前で赤ちゃんがいて自由がきかない状況を考えれば、限りなく建物内と考えられるため保険金はお支払いしましょう」。そんな判断があってもよいのではないでしょうか?と言いたいです。
もし、そのような判断がされれば、保険には加入し続けましたし、今回の件を巡って他人へ勧めることもあったと思います。
残念ながら、保険会社はそうした深謀遠慮がありませんでした。
小さいことかもしれませんが、二重の意味でお客を失う判断したとも思っております。
「ベビーカー盗難で家財保険を見直しました」のまとめ
今回の記事は、ベビーカーの盗難をキッカケで家財保険を解約した話をしました。
損害保険とは、トクするものではなく、あくまで起きた損害分を回復するものであることも重々承知しています。
一方で、保険加入時にあらかじめ保険証券を読む機会もなかなかありません。
仮に、読む機会があったとしても、このように細かく書かれた約款を読んだところ、普通は実感を持って理解できないかもしれません。
しかし、今回このような事があって保険証券に目を通すこととなりました。
火災時には役にたつかもしれませんが、実際に家には高額なものはなく、仮に加入していても保険の対象外かあまり役に立たない可能性があると分かりました。
保険に入っていてもあまり役に立たないと感じたのも正直なところです。
特に、建物の火災保険や地震保険は必要かもしれませんが、家財保険は不要と思います。
気になる方は、一度、契約内容を詳細に見直されてみてはいかがでしょうか。