決算業務等のプロジェクトをスムーズに進めたいけれどなかなか進められない…と悩まれている、経理のリーダーやマネージャーもいらっしゃるのではないでしょうか?
前回、【決算早期化】コツとヒント 全てのタスクに名前をつける というお話をしました。タスクに名前をつけ、メンバーの認識を合わせていくことは重要です。
しかし、ただ単に「名前をつける」で決算はまわりません。決算とは、チームによる共同作業です。共同作業をスムーズにまわしていくには、チームメンバー一人ひとりに刻々と進捗状況を共有していく必要があります。
この記事では、決算業務やオペレーションをスムーズに進めるための知恵についてご紹介できればと思います。
メンバー全員が常に同じものを見られ、状況を共有できるタスク管理表を作り認識を合わせましょう。
Photo by Stavrialena Gontzou on Unsplash
タスクに名前をつけるだけでは業務はスムーズに進まない
タスク名だけでは進まない
すべてのタスクを洗い出し、適切に名前がつけらたとします。名前がつけられたタスクは、メンバー間で認識され共有できます。
しかし、タスクに名前が付けられてただけでは、残念ながら、決算がスムーズに運ぶわけではありません。
耳目を一にする
では、次に決算をスムーズに運ばせるために考えるべきことは、何でしょうか?
決算をスムーズににさせるには、人の「耳目を一にする」工夫、すなわち、決算業務を行うメンバーの認識を合わせ、共有させることが必要です。
ここで「耳目を一にする」という言葉が出しましたが、どのような意味でしょうか?
「耳目を一にする」とは、『孫氏の兵法』に出てくる一節であり、「一人ひとりの行動を統一する」という意味で次のとおりです。
『軍政に曰く、言うも相聞えず、故に金鼓を為る。視すも相見えず、故に旌旗を為る。是の故に昼戦に旌旗多く、夜戦に金鼓多し。夫れ、金鼓・旌旗は人の耳目を一にする所以なり。人既に専一なれば、則ち勇者も独り進むことを得ず。怯者も独り退くことを得ず。此れ衆を用うるの法なり。』
「金鼓」とは鐘や太鼓であり、「旌旗」とは旗や幟を意味します。
この記事では、孫子の解説が目的ではありませんが、集団において一人ひとりの行動を統率するには、鐘や太鼓、旗や幟によって耳目を一つにする必要があり、耳目を一にする「金鼓」と「旌旗」を用いうることこそが、メンバーを動かす方法であると述べています。
孫氏は戦場での話であるため、そのまま鐘や太鼓、旗や幟をビジネス(仕事)で使うわけではありません。ビジネスは戦ではありません。ビジネスで必要なもの、特に決算業務では、「耳目を一にする」鐘や太鼓、旗や幟に相当するものとして「タスク管理表」が重要となります。
耳目を一つにするためのタスク管理表
タスク管理表とは
タスク管理表を作る場合、形は何でもかまいません。
ガントチャートのような進捗管理表でも、単純なチェック表をイメージしていただいても構いません。
タスク管理表は、数式をガチガチに組んだ、凝った表にする必要はありません。あまり複雑にすると見にくくなったり、かえって管理やメンテナンスが煩雑になってしまうこともありますので気を付けましょう。
そもそも複雑で凝ったタスク管理表は、耳目を一にするという目的からずれますので本末転倒です。エクセルで作成する場合、複雑に凝った数式を使うよりも、できるだけ条件付き書式の機能を利用するなどにとどめたほうがよいでしょう。
例えば、条件付き書式で行うならば、タスクが完了になればセルの色が変わるように作ればよいです。数式でガチガチにすると、後々メンテや管理が大変になり、余計なところで時間がとられてしまいます。
タスク管理表はできるだけシンプルなものに留め、マイクロソフトTeamsなどに掲示するなどにしてメンバーに対しリアルタイムに共有していくことに注力しましょう。
タスク管理表の要件
タスク管理表で最低限必要な要件は、「誰が」「何を」「いつまで」にやるのか、そして、それが「作業中」なのか、あるいは、「完了」したかどうか、そして「進捗状況」(どのくらいかかっているか)を一目瞭然にする表にすることです。
繰り返しになりますが、タスク管理表の作成のポイントは、「誰が」「いつ」「何を」を行うか、あるいは行ったかをできるだけシンプルに表し、誰が見ても理解しやすくすることです。
そして、自他メンバーの進捗をすぐに確認できるよう共有することです。メンバーがすぐに理解できないような細かいタスク管理表はやめましょう。
シンプルにすること、当たり前ですが大事なことです。
タスク管理表の使い方
タスク管理表の運用方法
では、タスク管理表をどのように使っていけばよいでしょうか?
担当者があるタスクを終えたならば、担当者自身でタスク表をのステータスを更新・変更してもらうルールで運用します。
担当者にタスク管理表を更新してもらうことで、マネージャーや他のメンバーは、何のタスクが終わって、何が終わっていないのか、リアルタイムで現状を把握することができます。
実際、タスク管理表の更新をマネージャーがやっても構いませんが、そのタスクが始まったのか終わったのかの判断は、やはりその担当者でないと分からない面もあります。
マイクロフト・プランナーがおススメ
キリオとしては、タスク管理表としてはマイクロフト社が出しているPlanner(プランナー)を使うことをおススメいたします。
Plannerですと、タスクを簡単に直感的に作成できますし、タスクを割り当てたメンバーにリマインドのメールを自動でしてくれます。
Planner等のタスク管理表をメンバー自身でステータスの変更をしてもらいますと、衆人環視のような状況になりますので、緊張感も生まれす。
また、メンバーには、ひとつひとつを着実に終わらせるごとに、あたかもスタンプをもらえるような、ある種の成果や達成感を味わうことにつながり、いわゆるゲーム性を帯びてきます。
経験上、このようなタスクの進捗管理表を用いますと、メンバー全員が全体の進捗状況を確認でき、不思議にもチーム全体のスピードとテンポも早まり、結果として、決算がスムーズに進むようになりました。
「オペレーションを円滑にするタスク管理表の考え方とコツ」のまとめ
孫氏の兵法から「耳目を一にする」ヒントに、「タスク管理表」というお話をいたしました。
タスク管理表の共有によって、メンバー全員がタスクの進捗度合いや現在の状況が分かれば、全体の流れ(フロー)がスムーズに動き出します。
タスクの進捗管理表は、決して凝った必要はなく、全員が簡単にアクセスでき、確認できることを重視すべきです。高価なシステムである必要はありません。
物事をスムーズに進めるべく、是非、タスクの進捗管理表を導入してみてはいかがでしょうか。
おかげ様で何とか10記事を達成です。
これからも試行錯誤しながら頑張ります!